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相続税申告の対象となる財産とは?納税額への影響が大きい財産や申告で注意すべき財産について

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ある方が亡くなったとき、その方を被相続人とする相続が開始されます。そして被相続人の配偶者や子などは相続人となり、被相続人が有していた相続財産を取得することになります。
その際、相続税が課税されることも忘れてはいけません。一定額以上の相続財産を取得したときは、相続が開始されたこと、自分が相続人であることを把握してから10ヶ月以内に相続税の申告および納税をしなければなりません。
そこでこの記事では、「相続税申告の対象となる財産には何があるのか」について解説していきます。

 

 

相続税申告において主となる財産

相続税は、「遺産に係る基礎控除」の額を相続財産の価額が超えなければ課税されません。つまり、相続があったからといって常に相続税の申告が必要になるわけではないのです。
基礎控除額は相続人が1人の場合でも3,600万円は予定されており、相続人が5人の場合には6,600万円になるなど、法定相続人の数に応じてその額は増していきます。

 

そこでまずは基礎控除額を超えるかどうかが判別できる必要がありますので、大きな財産について評価していくことが大切です。
この観点からは、以下で紹介する「評価額が大きくなりやすい財産」が相続財産に含まれていないかどうかをチェックしていくことが大切です。

不動産

不動産は相続税申告の対象です。
例えば宅地や家屋などです。特に宅地は、統計上、相続財産の中でもっとも大きな財産です。その有無が相続税申告・納税の有無を左右することが多いため、必ずチェックすべきです。
家屋に関しても、宅地や後述する現金・有価証券に次いで大きな規模を占めています。

現金や預貯金

現金および預貯金も当然相続税申告の対象です。
しかも宅地に次いで大きな財産とされていますので、要チェックです。複数の口座を作っていることもありますので、しっかりと調査をしましょう。

有価証券

株式や国債、社債、投資信託に関する「有価証券」も相続税の申告対象です。
統計上、相続財産の15%ほども占めていますし、被相続人がどのような不動産を持っていたのか、どれほどの現金・預貯金を持っていたのか、といったことに加え有価証券についても調べることが大切です。
約束手形や小切手、為替手形、商品券なども有価証券の一種です。

 

相続税申告時に注意すべき財産

上に挙げた不動産や現金等は代表的な相続税申告の対象財産です。しかもその価額割合は非常に大きいため、少なくともこれらの財産を調べていれば相続財産の全体像はつかめてくることでしょう。

 

ただ、一般にあまり相続財産として意識されていないものの税制上考慮すべき財産があります。以下の財産にも着目し、漏れのないように申告しなければなりません。

被相続人が管理していた他人名義の財産

相続税申告の対象となる、注意すべき財産1つ目は「被相続人が管理していた他人名義の財産」です。

 

要は「他人名義の財産であっても、被相続人の財産であると評価されて相続税が課税されることがある」ということです。
例えば被相続人が自分の子どもや孫のために、子どもや孫名義で銀行口座を作っていたとしましょう。その口座に自らの資金を投下し、さらに口座の管理まで自ら行っていたのであれば、それは実質被相続人の財産であるとして課税対象となります。

 

そのため被相続人の管理下にあった別名義の財産については、実質面で捉え、誰の財産であったのかを考えていく必要があるでしょう。

相続開始前3年以内の贈与

「生前贈与で節税ができる」と聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。
確かに生前贈与で節税は可能なのですが、やり方やその期間によっては節税効果が期待できません。

 

特に重要なのが、「相続開始前3年以内にされた贈与は相続税の計算に含める」ということです。
年間110万円以内であれば贈与税は発生しないところ、この期間内の生前贈与は110万円以下であっても相続税の計算には加算しなければなりません。
ただ、このルールが適用されるのは生前贈与を受けたのが相続人である場合です。厳密には「相続または遺贈により財産を取得した人」が対象です。そのため相続人が被相続人の配偶者と子の身であるケースにおいて、孫に生前贈与がなされたのであればその分を加算する必要はありません。よってこのときは相続税申告の対象から外れます。

生命保険金

名義が他人であっても実質被相続人の財産であれば申告対象となる、と説明しました。同様の趣旨で、生命保険金も課税対象となり得ます。

 

留意すべきは被相続人が保険料の負担をしていたケースです。
この場合、生前に被相続人が自らの財産を違う形に変えていただけに近しいため、一定限度で相続税が課税されてしまいます。法定相続人の数に応じて「非課税限度額」が設定されていますので、これを超えた分は申告対象となります。

 

非課税限度額 = 500万円 × 法定相続人の数

退職手当金

生きていれば支給されることが予定されていた「退職手当金」についても、相続税の申告対象です。
具体的には、①相続開始から3年以内に支給が確定すること、②非課税限度額を超えること、の2点を満たすことで対象となります。

ここで言う非課税限度額についても、生命保険金のそれと同様に計算します。つまり法定相続人の数が多いほど非課税の枠は広がります。