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相続税の課税対象となる財産とは?課税対象になるものとならないものを整理

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相続税の計算は簡単ではありません。引き継ぐ財産がすべて現金であれば比較的シンプルに計算ができますが、実際には不動産や動産、その他様々な財産の価値を評価しなければなりません。 また、あらゆる財産が課税対象になるわけではありませんし、逆に課税対象ではないと思っていたものが相続財産とみなされることもあります。そこで当記事では、何が相続税の課税対象となって何が課税対象外になるのかを整理していきます。「どんな財産が相続税に影響するの?」と疑問を感じている方はぜひ参考にしてください。

相続や遺贈によって取得したものは原則課税対象

まずは原則ですが、亡くなった方の財産を相続や遺贈・死因贈与により得た場合には、相続税が課税されます。 例えば現金や預貯金、有価証券、土地や家屋などの不動産、宝石などの動産などは当然課税対象です。また、貸付金がある場合、手元に現金があるわけではありませんが金銭に見積もることができるためやはり相続財産として課税がなされます。同じ観点から、特許権や著作権なども金銭に置き換えることのできる、経済的価値あるものですので、相続税を計算する上では無視することができません。 よって、相続税の計算においては、何が課税対象で何が対象外なのかを逐一考えていくのではなく、基本的には課税対象であると考えたほうが良いです。 その上で、相続や遺贈などで取得したものの例外的・限定的に課税されない財産もある、と捉えておきましょう。

相続や遺贈で取得しても課税対象に含まないもの

相続、遺贈により得た財産であっても、相続税がかからないものがあると言いました。 気にする必要がないものも多いですが、該当する財産がある場合には節税にも関わってきますので、税理士に依頼するなどして正確に計算をしましょう。 各種法令をもとに「相続税がかからない財産」として国税庁が公表している財産には以下のものがあります。

  • お墓や仏具など (仏壇、その他神をまつるための道具など日常礼拝に使っているものが含まれる。ただし商品として所有しているような場合には別)
  • 宗教や学術など公益目的の事業をする個人などが取得した財産で公益目的の事業に使うことが確実なもの
  • 心身障害者共済制度による給付金を受ける権利
  • 相続で取得したとみなされる生命保険金・退職手当金等の一定部分
  • 個人経営の幼稚園事業で使われていた財産 (引き継いだ相続人が経営を続けるなど一定の要件を満たす必要がある)
  • 相続税の申告までに、国・地方公共団体や公益目的の事業を行う特定の法人に寄附した財産 (特定の公益信託の信託財産とするために支出したものも含む)

注意すべきは生命保険金や退職手当金等でしょう。 課税対象外となる具体的な金額は、「500万円 × 法定相続人の数」となります。つまり、生命保険金が1,000万円で法定相続人が1人である場合、500万円までは非課税。残りの500万円が課税対象となります。 ただし、相続人以外の者がこれらの金銭を受け取った場合、非課税の適用はありませんので、まるまる課税対象となります。

みなし相続財産として課税対象に含まれるもの

冒頭で「相続や遺贈・死因贈与により得た場合」相続税が課税されると説明しましたが、これら以外の原因により被相続人から得ていた財産も課税対象になるケースがあります。 国税庁が公表しているこのみなし相続財産などには、以下の項目があります。

被相続人が保険料の負担をしていた場合の死亡保険金や死亡退職金

「保険料の負担を被相続人がしていた」場合には、その死亡保険金はみなし相続財産となり、相続税が課税されます。なお、その課税の範囲に関しては上の通り、法定相続人の数によって変わってきます。 死亡退職金に関しても同様です。

贈与税の特例を受けていた、農地、非上場会社の株式、事業用資産など

推定相続人に対して一定の財産を贈与した場合、贈与税の猶予をしてもらえるという制度があります。例えば農業を営んでいる者が農地や採草放牧地などを譲り、その者も農業を営むのでれば贈与税の納税が猶予されます。 同様に、一定の非上場株式や事業用資産について後継者へ贈与された場合、贈与税の納税猶予が得られるという制度もあります。 これらの特例を適用されている場合、相続の開始によって贈与税の免除が得られますが、相続税は課税されます。

贈与された教育資金や結婚・子育て資金の一部

30歳未満の者を対象に、教育資金に充てるため所定の要件を満たして贈与をした場合には受贈者の贈与税が免除される制度があります。 ただ、この特例の適用を受ける契約期間中、贈与者(被相続人となる者)が死亡したとき、「管理残額」と呼ばれる部分は相続によって得たものとして相続税の課税対象になるのです。なおこの管理残額は、教育資金として非課税の特例を受けようとした金額に対する実際の支出割合などに左右され、すでに教育資金として使った部分が大きいと相続税の課税部分も小さくなります。 しかしながら、亡くなった日において受贈者が23歳未満であったり、学校に在学していたりした場合には、この部分に関しても課税はされません。 結婚や子育ての資金として充てるため与えた財産も、同じように所定の要件を満たせば贈与税を非課税にしてもらえる制度があります。 そしてここでも「管理残額」に関しては相続によって得た財産として相続税の課税対象となります。

前3年以内に受けた贈与財産

相続または遺贈によって財産を得た者が、被相続人の亡くなる前3年以内に被相続人から贈与を受けていた場合、その贈与で得た財産に関してみなし相続財産となります。 そのため贈与の仕組みを使って節税を狙っていたとしても、相続開始の直前に行われた分に関しては結果として効果が薄れることになるでしょう。

相続時精算課税の適用を受けて得た贈与財産

贈与税に関する大きな特別控除を受けられる「相続時精算課税」というものがあります。通常、贈与をした場合には基礎控除年間110万円を超えると贈与税の納付義務が発生するのですが、この制度を活用することで2,500万円まで非課税で贈与ができるようになります。 ただ、この制度ではその名の通り相続時に精算を行うこととされています。よって、相続時に取得した財産ではなくても、相続財産と同様に相続税が課税されます。 事前に贈与で財産を渡しておくことで相続開始後の紛争を防ぐなどの効果が期待できますが、当該制度における控除分そのままがお得になるというものではありません。

相続財産法人から得た財産

相続人がいない場合、財産を法人とみなして管理することが法定されています。このときの法人を「相続財産法人」と呼びます。 財産を与えるべき者が誰もいない場合、最終的には国庫に帰属し、国のものとなります。 しかしその前に、特別縁故者として一部財産を分与してもらえるケースがあります。相続人ではないものの、被相続人に対して介護をしていた人や内縁の夫・妻などが該当します。 この場合には少し特殊な財産の承継を受けることになりますが、通常通り相続税が課税されます。

確定した特別寄与料の額

各相続人の分配量は協議により決めることができますが、法定相続分では立場に応じて画一的に設定されています。しかし、相続人のうち一人が被相続人に対して介護をしていたなど、献身的な行いをしていたというケースには、特別寄与料として別途財産を取得することができます。相続人でない親族に関しても認められています。 ただし、特別寄与料として受け取った金額は遺贈により取得したものと評価されますので、相続税が課税されます。