相続手続きを構成する諸手続きにはそれぞれに厳格な期限が設定されています。
しかし、この相続手続きでは、 遺言書の確認から財産分割に至るまで複雑な手順が続くため、計画的な進行が必要です。
本記事では、相続手続きの具体的な流れと、税理士のサポートが必要となる専門的な分野を解説します。
相続手続きは、被相続人の死亡から始まる一連の法的手続きであり、各手続きに設定された期限の中で複雑な作業を順序立てて進める必要があります。
この相続手続きの流れを以下で順をおって見ていきましょう。
遺言書の有無の確認は、どのような方式で残されたかによって異なります。
公正証書遺言の場合は、全国の公証役場で遺言検索システムを利用して、遺言書の有無や保管場所を照会することで確認を行うことができます。
一方、自筆証書遺言の場合は、最寄りの法務局にて、遺言書保管制度を利用しているか否かを照会して確認します。
なお、自宅で遺言が見つかったときには、家庭裁判所にて検認の手続きを経る必要があります。
遺産分割協議や相続税申告を行うには、まず誰が法定相続人であるかを確認しなければなりません。
この調査は、相続税の基礎控除額を計算するための法定相続人の数を確定させる上でも重要な作業となります。
法定相続人の調査は、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍を収集し、血縁関係を遡って確認するという作業になります。
1人でも相続人の漏れがあった場合、その後の遺産分割協議は無効と判断されるリスクが生じます。
前妻との間に子がいる場合や、養子縁組をしている場合など、戸籍調査が複雑化することがあります。
法定相続人の調査と並行して、被相続人の財産をすべて洗い出す必要があります。
財産には、預貯金、不動産、株式、貴金属といったプラスの財産だけでなく、借入金、未払金、連帯保証債務といったマイナスの財産も含まれます。
被相続人の資産よりも負債が大きい場合には、相続放棄を検討する必要があります。
相続放棄は、自己の相続から3ヶ月以内に管轄の家庭裁判所へ申立てが必要です。
この相続財産の調査の中で、すべての財産について正確な評価額を把握し、財産目録を作成することが、次の遺産分割協議の土台となります。
遺言書がない場合、相続人の確定や財産調査が終わったら遺産分割協議を行うことになります。
なお、遺産分割の成立には相続人全員の合意が必要となります。
この協議によって合意された内容を文書化したものが、遺産分割協議書です。
この遺産相続協議は、相続人全員が署名し、実印を押印することで完成します。
遺産分割協議書は、不動産の相続登記や預貯金の解約手続き、株式の名義変更など、その後のすべての相続手続きに必要となる重要な書類です。
相続手続きの多くは、相続人自身で行うことが可能ですが、相続税の申告に関わる部分や、財産評価、節税対策といった部分は税理士に相談した方が良いといえます。
なぜ、相談した方が良いのかをそれぞれ確認していきましょう。
相続税の申告には、相続開始の翌日から10ヶ月以内という厳格な期限が設けられています。
税理士に依頼することで、この期限内に複雑な財産評価を正確に行い、申告書を作成できます。
特に、土地や非上場株式などの評価は非常に難しく、税理士の専門的な評価によって納税額が大きく変わるケースが多々あります。
税理士の役割は、相続発生後の申告書の作成だけではありません。
相続発生後においても、特例の適用や代償分割、換価分割といった分割方法の選択について、税務上のメリット・デメリットを考慮した最適な提案を行うことで、相続人全体の税負担を軽減することができます。
相続手続きは、それぞれに設定された期限の中で複雑な作業を完了させる必要があります。特に相続税の申告には10ヶ月の期限があり、財産評価や特例の適用には専門的な知識が必要となります。
相続税の申告や節税対策において、手続きの正確性の確保と最大限の節税効果を得るために、ぜひ一度税理士にご相談ください。