相続の際に、一定の相続人に認められた最低限の遺産の取り分のことを遺留分といいます。
遺留分の権利が行使されると、相続税の計算に影響があります。
今回は、遺留分が相続税の対象になるかや、遺留分の計算方法などについて解説します。
目次
遺留分とは、被相続人の兄弟姉妹を除く法定相続人に法律上最低限保障された遺産取得分です。
遺留分が侵害された場合には、相続財産を多く受け取った人に対して遺留分侵害額請求をすることができます。
相続税とは、被相続人から実際に得た正味の財産額に対して課せられる税金です。
遺留分を主張することによって取得した財産は、相続税の対象となります。
そのため、原則として被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に申告をする必要があります。
遺留分の金額が確定していない場合には遺留分を含めない額を期限内に申告・納税し、確定後に修正を行うことになります。
遺留分侵害額を求めるためには、以下の流れで計算を行います。
遺留分侵害額を算出する際には、まず被相続人が亡くなった時点での財産をすべて特定します。
遺留分の基礎となる財産は、以下の式で求められます。
遺留分の基礎となる財産 = 相続開始時の積極財産 + 生前贈与の加算 - 負債
積極財産とは、預貯金や不動産などのプラスの財産のことです。
生前贈与は、相続人に対する贈与であれば原則として過去10年分の特別受益に当たる贈与額が加算されます。
遺産全体に対する遺留分の割合は、直系尊属のみの場合は3分の1、それ以外は2分の1となります。
遺留分の総額に各相続人の法定相続分を乗じることで、個別の割合が算出されます。
遺留分侵害額を割り出すには、遺留分を侵害された方に割り当てられた遺留分割合から、その方が承継したプラスの財産を差し引きます。
したがって、遺留分侵害額は次の式で求められます。
遺留分侵害額 = 個別の遺留分額 - (実際に相続した額 + 受けた特別受益)
上記の計算結果がプラスになった場合、該当の相続人は多くの財産を相続した人に対して金銭の支払いを求める権利を持ちます。
相続税の節税に寄与する次の特例制度は、遺留分の請求によって適用範囲が変動します。
被相続人の配偶者が遺留分侵害額請求を受けて財産を他人に支払った場合、支払った分については配偶者控除の対象から外れます。
そのため、家族全体の納税総額を計算する際には、控除額の減少分をシミュレーションに入れる必要があります。
遺言による遺産分割で不動産のみを承継した相続人がいた場合、小規模宅地等の特例が適用された後に、遺留分侵害額請求を他の相続人から受けたケースを考えてみましょう。
この相続人が遺留分侵害額請求を受け、支払いのために不動産を売却しなければならなくなる場合、小規模宅地等の特例の適用要件を満たしているのであれば、取り消しされることはありません。
ただし、遺留分侵害額請求によって不動産を取得した相続人については、小規模宅地等の特例は適用されません。
というのも、遺留分は原則として金銭債権として扱われているためです。
遺留分侵害額を共有持分として補填された場合、代物弁済によって取得した扱いになります。
小規模宅地等の特例は相続によって取得した不動産が対象となるため、遺留分を侵害された相続人は適用除外となるので注意が必要です。
<p遺留分侵害額請求によって取得した金銭は、相続によって受け取ったものとみなされるため、原則として相続税の課税対象となります。
そのため、最初に提出した相続税の申告内容を修正し、増額となった分の税金を追加で納めなければならない点には注意してください。
修正申告を怠った場合、税務署から申告漏れを指摘され、ペナルティを科されるリスクがあります。
遺留分を取得した場合に求められる相続税の計算は複雑なため、個人で行うことには困難を感じられるかもしれません。
税理士は、相続税の計算や申告手続きを代理で行うことが可能です。
これにより、依頼者の負担が軽減されるというメリットがあります。
今回は、遺留分が相続税の対象になるのかどうかや、遺留分の計算方法などについて解説しました。
取得した遺留分に課せられる相続税の計算に負担を感じられた場合には、税理士に相談することを検討してください。