不動産を家族・親族に譲る場面は、相続の前段階や生前対策などでみられます。
しかし、不動産をただ「渡す」だけでは、贈与は終了しません。
法律や税金の手続きが関わってくるため、事前に流れを把握するのが大切です。
今回は、不動産を贈与する際に必要な手続きの流れと注意点を解説します。
目次
不動産の贈与とは、土地や建物などの不動産を、無償で他人に譲る行為です。
たとえば、親が子にマイホームを譲る場合などが該当します。
一見シンプルに見えますが、こうした場合でも登記の変更や贈与税の申告など、法律に基づいた手続きが必要です。
手続きに不備があると、後々トラブルにつながるケースもあります。
不動産を贈与する際には、以下の4つのステップを意識して進める必要があります。
①贈与契約書の作成
②登記手続きの準備
③登記申請(名義変更)
④贈与税の申告と納付
それぞれ確認していきましょう。
まずは贈与契約書を作成します。
契約書では、不動産を「誰から誰に」「どの不動産を」贈与するのかを明確にしてください。
口頭での約束だけでは、後に「言った・言わない」といったトラブルに発展する可能性もあります。
そのため、書面で契約を交わすのが重要です。
贈与する不動産がある場合、名義を変更するための手続きが必要です。
そもそも登記とは、「この不動産は誰のものか」を公的に記録する仕組みを指します。
法務局に情報を登録すれば、その不動産の所有者(持ち主)が誰なのかを明確にできます。
家や土地をもらったときに登記をしなければ、法律上はまだ前の持ち主のままです。
そのため、不動産の贈与があったら、登記手続きの準備をしてください。
書類が整ったら、法務局に登記申請を行います。
必要になる主な書類は以下の通りです。
登記をすると、不動産の名義が贈与者から受贈者へ正式に変更されます。
登記申請は自分でもできますが、書類に不備があると受理されない場合があるため、必要に応じて専門家に相談してください。
不動産の贈与を受けた場合、原則として受贈者は贈与税を支払う必要があります。
贈与税は、翌年の2月1日から3月15日までの間に税務署へ申告・納付しなければなりません。
贈与税の額は、不動産の評価額に基づいて決まります。
以下のような非課税枠も存在するため、あわせて確認してください。
税額の計算や申告手続きに関しては、税理士に相談すると安心です。
不動産の贈与には、税金以外にも費用がかかる場合があります。
項目 | 内容 |
登録免許税 | 固定資産評価額の2% |
不動産取得税 | 固定資産評価額の3%~4% |
司法書士や税理士への報酬 | 登記を依頼した場合に発生。いずれも10万円前後が相場 |
契約書に貼る印紙代 | 贈与契約書の内容によって変動 |
上記のような費用も含めて、事前に準備をするのが大切です。
不動産を贈与する、もしくは贈与を受ける際は、いくつかの注意点があります。
知らずに進めると、思わぬ税金が発生したり、トラブルに発展するリスクがあります。
具体的には、以下の3つのポイントに注意してください。
それぞれ解説します。
不動産の贈与は金額が大きくなるため、税務署からチェックされやすい傾向にあります。
売買を装った贈与や、適切な申告がされていないケースであれば、より指摘のリスクは高まります。
税務調査が入った場合、追徴課税につながる可能性もあるため、正確な申告を心がけましょう。
不動産の贈与は、将来の相続と密接に関係しています。
他の相続人との間で不平等感が生まれると、遺産分割の際にトラブルになる可能性があります。
特に子や孫に不動産を贈与する場合、受贈者の生活や希望を無視して贈与すると、かえって負担を与えます。
固定資産税や維持費、将来的な売却の難しさなどを含めて、事前に話し合うのが大切です。
トラブルを避け、スムーズに不動産贈与を進めるには、以下のポイントを押さえてください。
贈与は、どうしてもトラブルにつながりやすい分野です。
贈与者と受贈者の関係だけでなく、他の家族・親族を巻き込む可能性も考えながら、贈与を進めましょう。
今回は、不動産を贈与する際の手続きの流れや注意点を解説しました。
不動産の贈与は「ただ渡す」だけではなく、契約書の作成や登記、贈与税の申告といった手続きが必要になります。
さらには費用や税金の負担、将来の相続への影響なども含めて、どのように贈与をするかを考えるのが大切です。
不動産贈与を円滑に行うためには、必要に応じて税理士などの専門家のアドバイスを受けるのがおすすめです。